仕切られた部屋、長く暗い廊下。かつての日本はこのような住まいが普通にありました。
住まいをもっと豊かなものにしたいと思い、アメリカへ旅立った私たちが見たものは、どう見ても2×4とは思えない建物でした。どこを見ても立派な建物であったその街は、すべてが2×4だったのです。

外観もさることながら内部空間は広々として優雅でダイナミックなものでした。当時の日本では考えられないこのアメリカの建物のよさを日本でぜひ取り入れたい。そう思い私たちは進んできました。
アメリカの2×4の外観は、たくさんのバリエーションがあります。伝統的な様式から近代的なものまで多種多様です。

住宅街でもそれぞれがいろいろな技法を使って表現しており、そして主張していました。それぞれの家は調和しており、すばらしい街並みになっているのです。

私たちはこの表現力のすごさにおどろき、そして感動しました。
個人主義的な風潮が強まっていた当時の日本では、部屋を完全に仕切り、遮音性や気密性にすぐれたドアをつけることで、リビングは次第に空洞化していきました。

ところがアメリカの住宅は、私たちの想像する個人主義の住宅ではありませんでした。プライベートの 空間は仕切られているのですが、それ以外の空間には不必要な仕切りやドアはありませんでした。そこにあったのは家族みんながいつでも気軽に繋がれるダイナミックな大空間だったのです。私たちは、アメリカの住宅の中で日本の家族がつながりを取り戻す方法を学びました。

家族をつなげる大空間。べセルの原点はここにあります。